“今の姿だけ”で未来を決めないでいい理由
- Sae Katsuta

- 1 日前
- 読了時間: 3分

子どもと長く関わっていると、
「この子はこういうタイプだから」
「この時期はこんな感じなんだろう」
と、つい “今の姿” を基準に未来を想像してしまいそうになります。
でも、実際の子どもの育ちは、そんな単純な直線ではありません。
以前のブログでも書いたように、
発達は階段ではなく “うねり” のようなもの。
伸びて、停滞して、また別のところが伸びていく——
その揺れの中で、子どもは確かに前へ進んでいます。
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「できない」が示してくれる、大切なサイン
大人は “できる” を見つけると安心します。
反対に “できない” に出会うと、
どうにかしなきゃ、と焦ってしまうことがあります。
けれど私がこれまでの子どもたちの姿を見てきて思うのは、
“できない” は、不足ではなく、未来の芽が眠っているサインだということです。
例えば、
・困難に感じている理由が、実はその子のこだわりや美意識の表れだったり
・時間がかかっているのは、じっくり理解したい性質ゆえだったり
・挑戦をためらうのは、実は環境をとても繊細に読み取っている証だったり
“できない” の奥には、その子の個性の核が隠れています。
“見えないところ” を信じ切る力
乳幼児期、学童期、青年期——。
どの時期にも、表面からは分かりにくい“内側の成長”が進んでいます。
特に乳児期から幼児期にかけては、
エリクソンが示したような発達段階の土台がつくられる時期でもあり、
目に見える行動よりもずっと深いところで、
「自分って大丈夫なんだ」という感覚を育む時間でもあります。
だからこそ、
今日の姿だけで、その子の未来を語らないこと。
これは、私自身が娘たちを育てるなかで、
そして多くの子どもたちと関わる中で、
何度も学び直してきたことでもあります。
“ゆっくりと育つ力” を尊重する社会へ
大人が急いで結果を求めすぎると、
子どもの「ゆっくり深く育つ力」を奪ってしまうことがあります。
子どもたちは本来、
自分のペースで、内側の準備が整ったときに
驚くほどの伸びを見せてくれます。
だから私たち大人ができることは、
焦らず、比べず、急かさずに、
その子の「うねり」を丸ごと受け止めること。
“できない” を責めるのではなく、
その奥に眠る光に気づいてあげること。
その視点が家庭に、学校に、地域に広がっていったら——
きっと子どもたちの未来は、もっと自由でのびやかになります。
今日、もし「うまくいかないな」「まだ難しそうだな」と感じる場面があったとしても、
それは、その子の歩みが止まっているということではありません。
子どもは、見えないところで静かに力を育て、
誰にも気づかれないほど繊細に、自分の内側を整えていることがあります。
だから、大人である私たちが忘れたくないのは、
“今の姿は、その子の物語のごく一部でしかない”ということ。
できないときこそ、
ゆっくり息を整え、
その子が積み重ねてきた時間や、
これから迎えるであろう未来の伸びしろまで含めて
そっと見守る視点を持ちたいと思います。
そして、今日の小さなつまずきが、
明日の大きな成長にそっとつながっていく。
そんな“育ちのリズム”を信じていけたら、
私たち大人の心も、少し軽く、あたたかくなる気がしています。



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