助七で出会った、石徹白の豪雪と私たちの水
- Sae Katsuta

- 8月29日
- 読了時間: 5分
石徹白でのキャンプは、今年で五年目を迎えました。
始まりは、平野さんご夫妻との出会いがきっかけでした。
石徹白に暮らす方々の姿に触れ、
自然の中で創造的に生きるということの豊かさに強く惹かれたのです。
だからこそ、まずは子どもたちにもこの美しい自然を感じてほしい。
そんな思いから始まったキャンプは、初めの頃は平野彰秀さんが手がけられた小水力発電を見学させていただいたり、
積み木や絵の具での活動を取り入れながら、毎年少しずつテーマを変えて続けてきました。
そして五年目の今年は、馨生里さんの「助七プロジェクト」に触れる機会もありました。
改めて思ったのは、ただ自然の中で遊ぶだけではなく、
創造的に生きる大人たちと子どもたちが出会い、自然につながっていくことの尊さです。
その時間を重ねながら、私自身もまた、今回のコンセプトのように
創造的に生きる人と人を結びつけたいという願いを抱いていたことに気づかされました。
子どもたちと、創造的に生きる人を結びつけたい――
その願いこそが、この活動を続ける私の大きな力になっているのだと、改めて実感いたしました。
馨生里さん(かおりさん)の「助七プロジェクト」に触れる
助七の見学では、平野馨生里さんから
石徹白の集落の写真を見せていただきながら説明を伺いました。

この集落にはおよそ150軒の家がありますが、
そのうち50軒ほどはすでに空き家となっているそうです。
民宿や宿を運営されてきた方たちも高齢化が進み、
訪れる人が泊まれる場所も少しずつ減ってきている現状があります。
そうした中で、新しく移住してきた若い人たちが民泊を始めたり、
さまざまな形で宿泊の場を残そうとする活動が広がっています。
平野さんたちもまた、「助七」と呼ばれる築200年近い古民家を残し、
石徹白特有の家のつくりをできるだけそのままに安全に復元しようと尽力されています。
すべてを新しくしてしまうのではなく、
石徹白に息づく文化や暮らしを未来へつなげていくこと。
そして、その家を宿として開き、訪れる人が石徹白の営みに触れられるようにすること。
助七プロジェクトは、そんな願いを込めた挑戦です。
この活動は、クラウドファンディングで1000万円以上の支援を集めただけでなく、
ご夫妻が自己資金として2000万円近くを投じ、そこからさらに始まっているものでもあります。
私たちも、微力ながら少し寄付をさせていただきました。
石徹白洋品店のホームページなどでチャックしてみてください。
↓↓
子どもたちには少し難しい話かな、と最初は感じていました。
けれど実際には、とても興味を持って集中して聞いてくれていたのが印象的でした。
お話のあとには、子どもたちから次々と質問が出ました。
「お家は全部で何軒くらいあるんですか?」
「小学校に通っている子は何人くらいいるんですか?」――
答えを聞いてみると、小学校に通う子どもは20人にも満たないことや、
集落全体で150軒ほどのうち50軒は空き家になっていることなどを知ることができました。
子どもたちはきっと、自分たちの住んでいる愛知県など都市部での暮らしと比べながら、
石徹白の暮らしのあり方を感じ取ったのだと思います。
「みんなが住んでいる家」とは少し違う、その土地ならではの生活や風景が、
新しい発見として心に残ったのではないでしょうか。

その後、実際に工事中の助七の建物を見学させていただきました。
大きなコンクリートではなく石を積み、その上に柱を立てる伝統的な工法。
壁もすべて木でできていて、築200年近い古民家ならではの佇まいを目にすることができました。

石徹白は豪雪地帯で、今年は20年に一度といわれる大雪がこの地区を襲いました。
工事中の家が雪の重みで潰れてしまわないようにと、馨生里さんたちは必死に雪下ろしをされたそうです。
2階部分に3メートル以上の雪が積もることもあるという話に、子どもたちも驚きの表情を見せていました。
さらに、助七のすぐ近くには、この冬の大雪で屋根が崩れてしまったお家もあり、
現実として目にすることができました。
子どもたちは、石徹白での暮らしが自然の厳しさと隣り合わせであることを、
肌で感じたのではないでしょうか。

名古屋では考えられない雪の量ですが、こうして雪が降り積もるからこそ、
私たちが暮らす名古屋でも水の確保ができているということ。
ここはまさに、私たちの日々の生活で使っている水の源流に近い場所であり、
そのつながりを子どもたちと共有することができました。
こうして迎えたキャンプ初日は、助七プロジェクトを通して、
石徹白の暮らしや自然の厳しさ、そしてそこに込められた人々の思いに触れる一日となりました。
子どもたちにとっても、自分たちの暮らす都市とは異なる土地の現実を知り、
新しい視点を持つきっかけになったのではないかと思います。
そして2日目は、いよいよ子どもたちが心待ちにしていた川遊びへ。
清らかな流れの中で見せてくれた姿は、また別の輝きにあふれていました。
その様子については、次回のブログで綴っていきたいと思います。




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